中国自転車シェア企業6社倒産、日本進出のofoが経営危機か

2017/11/28 更新: 2017/11/28

中国国内の自転車シェアリング企業がこの半年間に、相次いで6社倒産した。今年8月に日本進出を果たした同業大手のofoも経営危機が報じられた。近年爆発的に拡大してきた同業界に参入する企業が急増しており、企業間の競争激化と市場の飽和状態が、企業が次々と倒産した主因だとみられる。

今年6月13日、四川省重慶市で自転車シェアリングサービスを手掛けた「悟空単車」が倒産した。業界内で初となった。貸し出し自転車の9割が持ち去られたという。

その後、同様のサービスを展開する「町町単車」「3Vバイク」が経営難で倒産した。11月に入ってからは、「酷騎単車」と「小藍単車」と「小鳴単車」も相次いで経営破綻になった。

中国メディア「騰訊科技」(24日付)によると、中国国内自転車シェアリング市場では、業界最大手の摩拝単車(以下、モバイク)と2位の北京拝克洛克科技(以下、ofo)の市場シェアは95%だ。これに対して、倒産した悟空単車などの市場シェアはわずか5%という。

 200万台の自転車がゴミに

今年6月に中国自転車協会が発表した統計によると、2016年に自転車シェアリング会社20社が、市場に約200万台の自転車を投じた。17年には、昨年の10倍の約2000万台が投入されるとの見通しだという。

自転車シェア市場がすでに飽和状態になった上海市などでは、新たに大量の自転車を投入することで、交通の妨げや自転車の迷惑駐輪を一段と深刻化させ、社会問題となった。また企業の破綻で、町の至る所に放置された自転車の処分も問題となっている。

経営難に陥る企業の増加に伴い、放置された自転車が急増している。中国国内メディアは、「悟空単車」などの倒産で、各都市で約200万台の自転車がごみになると試算した。

 保証金の返金トラブル

また、自転車シェアリング会社の倒産後、ユーザーへの保証金払い戻しができず、トラブルが続出している。一般的に、ユーザーが自転車シェアリングサービスを利用する際に、スマートフォンアプリで実名登録、本人確認などの手続きを行う必要があり、また99元~298元(約1683円~5066円)の保証金を支払わなければならない。

今年8月、経営破綻に直面した酷騎単車がスマートフォンアプリで「7日間以内に保証金の返金ができない」と告知した。同月、町町単車が保証金の払い戻しを拒否したうえ、社長が「夜逃げした」と報じられた。

ほとんどの自転車シェアリング会社はブームにあやかりたいと思って立ち上げられたが、ビジネスモデルを確立できず、赤字経営を続けている。前述の「騰訊科技」は、ユーザーからの利用料と保証金だけが会社の収入源となっているが、自転車の維持コストなどをカバーすることはできていないと、指摘した。

中国メディアはこのほど、10億元(約170億円)規模の保証金が返金されないと伝えた。

 業界大手モバイクとofo、日本に進出

 

一方、中国メディアはこのほど、ofoの経営陣の間では経営方向をめぐる対立が起きていると報道した。タクシー配車とライドシェア(相乗り)サービスで中国最大手・滴滴出行出身の幹部らが出社を拒んだという。

昨年9月、滴滴出行はofoに対して数回出資を行った。滴滴出行は現在、ofoの30%以上株式を保有し、同社の筆頭株主となっている。幹部らは今年7月に滴滴出行からofoに入社した。

また、ofoの重要出資者の一人、中国国内投資家の朱嘯虎氏もこのほど、ofoが最大手のモバイクと将来的に合併することを示唆した。

国内ネット大手や金融機関などから莫大な出資と融資を受けて、「モバイク」と「ofo」は近年海外進出を加速化している。

日本では、モバイクは8月に北海道・札幌市で自転車シェアリングサービスを始めた。今後国内10都市で同サービスを展開していくと報じられている。

ライバルのofoは9月、通信大手のソフトバンクグループ傘下の子会社と提携し、東京と大阪でサービスを開始した。

バブル化した中国自転車シェアリング市場で始まった「淘汰」が、日本市場にいかに影響を及ぼすかが注目されている。

 (翻訳編集・張哲)

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