トランプ米大統領 国連総会演説

共産主義と社会主義は世界の荒廃に繋がる=トランプ大統領

2017/09/21 更新: 2017/09/21

ニューヨークの国連本部で現地時間19日、総会が開かれ、加盟国首脳によるスピーチが行われた。圧倒的に注目を集めたのは「他国リーダーのとは全く異色」とBBCも報じた、米トランプ大統領のそれだ。北朝鮮に対して軍事的手段を選択肢としていることを改めて示唆し、「日本で13歳の少女を拉致してスパイにしようとした」と安倍首相が取り組んできた拉致問題について言及した。しかし、大統領が「社会主義と共産主義が世界を壊してきた」と発言したことは、あまりスポットが当たっていない。

国連での初演説を披露したトランプ大統領は、ソ連、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなどを名指しして、「本気で社会主義や共産主義(政権)をとってきた国は、人々に苦痛と荒廃をもたらした」「残酷な体制下で人々(国民)は苦しんでいる」と、そのイデオロギーを批判した。

「北朝鮮ほど軽蔑されている国は他にないだろう。国民よりも、腐敗した体制の維持を優先している。数百万人が飢え、数えきれないほどの刑務所を備え、拷問、粛清が行われている。責任を問われるべきだ」。

米国国際宗教自由委員会によると、過去10年間で、飢餓と病気により100万人以上の北朝鮮人が死亡した。米国務省は、金一族政権は法規の枠を超えた殺人、拉致、拘禁、政治犯の逮捕、拷問を行っていると指摘している。 また、北朝鮮政府は、言論、報道、集会、組織、宗教、運動、労働者の権利の拒否を含む、生活のさまざまな面で厳しく統制しているとした。

ベネズエラについて、トランプ大統領は演説で「ニコラス・マドゥロの社会主義独裁政権は、善良な人々にひどい苦痛と苦痛を与えている」と述べた。元バス運転手マドゥロ氏による政権は2013年、社会主義指導者ウゴ・チャベスの死後、発足した。

マドゥロ政権下で、ベネズエラは800%の超インフレが起き、経済が破たんした。トイレットペーパー、医薬品、食品など国内であらゆるものが入手困難となり、国民は生活難に陥った。 数百万人がマドゥロ政権に抵抗を示しており、一部の武装グループが政府軍の基地を襲撃する事件が多発している。混乱の中、クーデターの可能性も浮上した。

トランプ大統領はまた、キューバの独裁、共産主義政権についても言及。根本的な改革がない限り、米国はキューバに対する制裁を解除しないと述べた。 オバマ前政権は、キューバ国内の人権状況と国民への圧政が改善されていないにもかかわらず、経済制裁を緩和したため、国内外から批判されていた。

また、オバマ政権は、共産主義体制のキューバから脱出した難民に対して、法的地位を与える優遇政策をとった。これについて「平和的な民主的運動を抑圧する措置だ。私はただちに、このキューバからの完全な一方的な取り決めを停止する」と述べた。

  「すべての人々は、政府による安全保障と利益、福利、そして繁栄を享受する価値がある」とトランプ大統領は熱弁をふるった。

(翻訳編集・佐渡道世)