上海の弁護士「中国の人権派弁護士は将来の大統領候補」

2017/06/11 更新: 2017/06/11

人権派弁護士として知られる上海在住の鄭恩寵氏。同氏はこのほど大紀元の取材に対し、709弁護士一斉拘束事件で弾圧された中国の人権派弁護士は、中国の未来のために自分と家族の経済的利益のすべてを投げ打って尽力を尽くしていることを特に取り上げた。その上で、彼らの払った犠牲と受けた苦難の数々は中国の歴史に深く刻み付けられるだろうと敬意を表し、彼らこそが中国の未来の大統領候補だとの思いをあらわにした。

鄭恩寵弁護士は取材に対し、709弁護士一斉拘束事件で逮捕された李和平、謝陽、王全璋の各氏は中産階級に属していたため、本来ならば経済的に恵まれ、豊かな暮らしを送ることができる立場にあったことに触れ、やり方によっては巨額の富を築くことも不可能ではなかったはずだと述べている。だが、彼らは中国の未来のため、自分や家族にもたらされるはずだった金銭的な豊かさを投げうったのだと語った。

「彼らは(自分の使命のために)家族全員を犠牲にした。子供たちは(当局の妨害により)学校へ通うこともできなくなり、家族は職を追われ、住む場所も(当局の嫌がらせで)度々引っ越しを余儀なくされている」と家族の置かれた境遇に心を痛めている。

709弁護士一斉拘束事件とは、2015年7月9日、中国公安部が中国全土で一斉に人権派弁護士を大量に拘束した事件のことで、翌12月16日までに少なくとも319人の弁護士、人権活動家やその家族らが、事情聴取、出頭命令、出国禁止、軟禁、住居の監視、逮捕、強制失踪(政府による拉致)など、何らかの形で迫害を受けた。

 

彼らが当局からこれほどまでに虐げられた理由は、社会的弱者の代弁者になったからにすぎない。李和平氏、王全璋氏、余文生氏をはじめとする弁護士の多くが、国の巨大な権力に果敢に立ち向かい、無実の罪に問われた法輪功学習者らの無罪を勝ち取るため、当局からの妨害に晒されながらも、いくども弁護を引き受けた。

今年5月9日、李和平弁護士は669日間に及ぶ長い不当拘留からようやく解放された。だがその間に、わずか47歳の李弁護士の頭髪は老人のような白髪に変わってしまった。李弁護士の妻の王峭岭さんは、李弁護士には高血圧の持病はなかったのに、拘留中に医師から無理やり高血圧の治療薬と称して薬を流し込まれた結果、筋肉の痛みや意識の混濁、視力の深刻な低下などが引き起こされたと語り、拘留中に李弁護士が当局から非人道的な扱いを受けたことを明らかにしている。

李弁護士と同じく、長期にわたり不当に収監されているとされる王全璋弁護士の消息は依然として不明のままだ。謝陽弁護士については、収監先で酷い拷問を受けているといった話が伝えられている。

鄭恩寵弁護士は彼らについて「当局に投獄された若い弁護士たちこそが、中国の未来の大統領候補だと思う。彼らは今、中国のネルソン・マンデラやマハトマ・ガンジーとも言える立場にある」と大きな期待を寄せている。

「中国の良心」と称された高智晟弁護士もまた、以前に法輪功学習者の弁護に立ったという理由で当局からひどい弾圧を受けた。だが高氏が高潔な心で、不屈の精神により信念を貫いたことは、国際社会から大きな称賛を浴びている。彼もまた、中国の未来の大統領候補の1人だと言える。

鄭氏は「法輪功学習者が弾圧されたとき、他にもたくさんの弁護士が立ち上がって声を上げた。これこそが中国の人権派弁護士が(人として)優れた品格を備えていることを表している」「彼らがそのために払った犠牲や受けた苦難の数々は、中国の歴史に刻まれるだろう」と語った。

鄭氏はまた、彼らに向けられる海外からの称賛はありがたいが、もっと別の視点も持ってほしいと願っている。彼らのような人権派弁護士は、しばしば海外から勇敢であるとか、脅しに屈せず毅然とした発言をすることについて評価されることが多いが、そこだけに注目するのではなく、彼らが自身や家族の経済的利益を犠牲にしていることを理解してほしいと訴えている。

取材の最後、鄭氏はこのように結んだ。「習近平主席は腐敗撲滅運動で成果を挙げた。だが私は、709事件に関する態度と処理については彼は失敗していると認識している。(反対勢力の仕業であるかもしれないが)709事件に関しては間違いなく誤っていると思う」

(翻訳編集・島津彰浩)