「中国人、目を覚まして!」命なんて惜しまない(5)

2017/04/23 更新: 2017/04/23
この記事は以下の記事の続きです。

「思考のマヒした中国人、目を覚まして!」北京の人権弁護士(1)
カルト指定でもない法輪功への違法な弾圧(2)
金儲け主義で人のことを考えない(3)
ファシスト国家でしか起きないことが起きている(4)

今の中国 真の安全など誰も保障されていない

現在の中国では、真の安全を保証されている人など誰もいないのです。巨大な国家権力と対峙している私は、自分の力では妻子を守り切るなど不可能ですし、誰かを守り切れる人などいません。

1960年代に(毛沢東の推進した大躍進政策の失敗により)起きた「大飢饉」を思い出してください。あのとき、数千万もの中国人が餓死しましたが、誰かを守るどころか、みんな自分のことさえ守り切れなかったのです。

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2016年7月、北京の天安門広場近くの地下鉄入り口で、すれ違う女性と警察官(STR/AFP/Getty Images)

人の命よりも権力が一番大事

警察が踏み込んできて私を連れ去った時、妻子を目の前にして何の説明もありませんでした。「お前が言うことを聞かないから連行する」といった具合でしょう。銃を持っている警察は彼らの権力を守るためのものであり、意のままに誰を迫害してもよいのです。過去数十年の間に、冤罪によって数千万もの人が命を落としました。ですが彼らにしてみれば、この数がいくら膨れ上がろうと知ったことではない。人の命よりも、権力こそが一番大事なのです。

中国共産党の統治下で、たくさんの人たちが民主化を叫びましたが、多くの命が奪われました。共産党が政権をとった時、数百万人もの中国人が「反革命分子」として殺されました。「大飢饉」では、4千万もの人々が餓死しました。そして文化大革命では数百万の人が命を落としました。共産党政権が誕生して60年余りの間に、一体どれだけの人が非業の死を遂げたのでしょうか。正確なデータなど出す手段はありません。

現在の中国社会は以前に比べ、表面的には進歩しました。ですが18大以降、中国の法治体制は著しく後退しています。いつ誰を拘束しようが、すべて当局の思いのままなのです。しかしながら、口先だけでも当局は民主主義、自由、法治国家を叫んでいて、身にまとっている民主主義という上着を脱ぎ捨てようとはしていない。

大衆が目を覚ませば民主主義は生まれる

中国「民主の村」村民が抗議デモ 鎮圧に備え武器を自製
 

ならば私たちは、共産党政権に対し実質的な民主主義を要求し、その法律を使って私たちを守り、何らかの手段を使って多くの人たちを覚醒させるのです。大衆が目を覚ませば、民主主義国家は自然に生まれるでしょう。もちろん、それを先導する人たちはそれなりの代償を支払うことになるかもしれません。もしかしたら命さえもなげうつほどの。

私の知っている限り、709事件で連行された弁護士らはいずれもすさまじい拷問や、拷問に等しい行為を受けています。これは中国当局が政治犯に対して取る常套手段です。当局は政権を維持するため、一旦誰かを拘束したが最後、何が何でも服従させます。彼らの要求をのまなければ、ひどい拷問が加えられ、それでも屈服しなければ、死んだほうがましだと思えるほどのむごい仕打ちが待っているでしょう。

もし私が再び拘束されることがあったなら、穏やかにそれを受け入れるでしょう。命など惜しくはありません。そうなったら、国際社会や市民活動家の方々に私の妻子のことをお願いできたらと思います。

2016年9月13日、法輪功迫害についての裁判で弁護団の一人である余文生弁護士(向かって左から2番目)。天津市東麗裁判所前で撮影(大紀元)

(おわり)


余文生 北京在住の弁護士。

共産党独裁体制の中国で、命の危険をかえりみず弱者の弁護に取り組む人権派弁護士。拘束や拷問の経験もある。最近、大紀元のインタビューに答え、自由のない社会に生きているため「思考がマヒしてしまった」という中国人に対して「目を覚ませ」と呼びかける。

余氏は、2014年に香港で起きた民主化運動「雨傘運動」を支持した中国国内の人権活動家の弁護を引き受けたことで、 同年10月に、中国当局により拘束された。2016年からは、中国の人権弱者や法輪功の裁判を担当している。

(翻訳編集・島津彰浩)

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