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THAAD配備、中国はなぜ米国を叩かないのか?(2)

2017/03/14 更新: 2017/03/14
この記事は、THAAD配備、中国はなぜ米国を叩かないのか?(1)の続きです。

なぜ中共が米国ではなく、韓国に反発するのか?

中国当局はTHAAD配備に反発するもう一つの理由として、THAADのレーダー探知距離は2000キロで、中国のミサイル発射などのを探知できると挙げた。

しかし、THAADのレーダー探知システムには2種類がある。1つは長距離で2000キロ先のミサイル発射や飛翔を探知できる。もう1つは600キロの短距離探知システムだ。

韓国に配備される予定のTHAADは短距離のものだ。一方、日本に配備されているTHAADは2000キロ先のミサイル発射などを探知できる。

中国当局のロジックで推論すれば、韓国よりも、中国当局は探知距離2000キロのTHAADを配備する日本に反発しなければならないはずだが、それはまだ見られない。しかも韓国政府にTHAADを提供する米国政府に対して、中国当局は全く言及していない。

中共と比べて、軍事力が遥かに強大で、対中関係で強硬な姿勢を示している現在の米トランプ政権に対して、中共は不満を言うことができない。中共の弱い者を虐げて強い者を恐れるという本性が、垣間見える。

一方、レーダー探知距離でいうと、ロシア政府が配備している弾道ミサイル防衛レーダーは探知距離5000キロだ。中国のミサイル発射・飛翔などを、ロシア軍が完全に監視できる。

軍事施設が探知されるのを恐れる中国当局が最も反発するべき国はロシアではないだろうか。その次にTHAADを提供した米国、日本、そして韓国の順番になる。

ロッテ不買運動は合理的ではない

THAAD配備は米韓の合意だ。ロッテグループは軍に配備地を提供する代わりに、韓国政府は別の土地をロッテ側に与えた。

韓国企業として、自国政府に土地を提供するのは当然のことのようだ。ロッテのみならず、他の韓国企業も同じ事をするだろう。ロッテの行動は世界貿易機関(WTO)などの国際的なルールに違反していないし、韓国と中国との二国間協定にも違反していない。

昨年夏以降、中国当局は中国で活動する韓国芸能人や韓国ドラマの露出を制限した。今回のロッテ不買運動はいわゆる当局による「限韓令」の一環だ。

中国当局は、米韓との直接の国家間対立を避けるため、いわゆる「韓流」と呼ばれるタレントや、一般企業への締め出しを行った可能性がある。

中共による報復は、中国が軍事・外交的に、韓国と米国と正面から向き合う勇気を持ち合わせていないという弱さを晒すこととなった。

一方で、ロッテマートの店舗の前で行われた抗議活動はみな、中国当局が裏で組織していたことが、ネットユーザらの指摘で明らかになった。中国では、国民に自由言論はなく、共産党がバックにない集会や抗議活動ならば、すぐさま警察が鎮圧しに来る。

参考記事:反韓運動を扇動する中国共産党 党支持者が暴力行為か

以前の反日運動も今回の反韓運動も、当局の黙認がなければ、町で集会するのは絶対に許されない。中国国内では、当局と他国間で外交的なトラブルが起きるたびに、決まって「国民」が動員されて抗議を行う。

今回のロッテ不買運動においても、国内インターネット上の情報で、中国共産党下部組織の共産主義青年団(共青団)が背後で不買運動を組織しているとわかる。

(つづく)

(大紀元時事評論員・横河、翻訳編集・張哲)

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