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中国高官の必読する極秘資料「内参」とは

2016/06/03 更新: 2016/06/03

このほど中国メディアが共産党内部の極秘資料「内参」の実態について公開し、その情報の信憑性や正確さなどはいずれも一般メディアが報じる内容をはるかに凌いでいると報じた。国内メディアが内部資料について報じるのは、きわめてまれ。

4月20日、「北京青年報」の内部関係者がSNSを通じて、「内参」報道の仕組みを公開し、毛沢東時代から続く「内参」の特徴について、その種類や、幹部の階級により閲覧できるもの、中国の政治や社会に与える影響などを明かした。

それによると、「内参」には中国当局がネット封鎖している海外メディアの報道も含まれており、内容は指導者層の汚職や法輪功問題など多岐にわたっているという。今回、「内参」についての情報が公開されたことから、党首脳部が江沢民一派のクーデター 計画及び法輪功学習者を対象に行っている臓器狩りといった犯罪行為については十分知っていることが推測される。

「内参」の仕組み

「内参」とは、中国国内外で共産党政権を批判する言論、政府にとって都合の悪い突発事件や敏感話題など、普通の新聞やメディアには載せられないが、「内部参考資料」として指導層向けに取材作成されたり翻訳編集されたりしている非公開の新聞報道のこと。

定期的に中央や指導層別に各種「内参」を提供しているのは主に新華社、人民日報、中央テレビなど中央直轄のメディア。中に新華社が提供されている各種の「内参」は記事の数、種類も圧倒的だけではなく、内容の信憑性や正確さ、迅速性そして影響力も群を抜いているという評判があるという。

「内参」は内容の緊急性、敏感度、深刻さなどにより指導層階級別に分類されている。例えば、新華社では、政治局常委及び委員の閲覧に供する最上級の「国内動態清様付録頁」や、省部以上の幹部には「国内動態清様」と国際「参考清様」など、市や司局の幹部には「内部参考」、下級幹部には週刊紙「内参選編」とそれぞれ作成されている。その他にも外交部を対象とする「国際時事資料」や「新情況」などがある。「内参」は機密書類に属しているため、閲覧された後回収処分されることになるという。

「内参」の特徴

公開した文では、「内参」の最大の特徴について「その信憑性や情報の正確さ、網羅する範囲などがいずれも世間で一般メディアが報じる内容をはるかに凌いでいる」と紹介している。

「内参」は中国の情報特権制度であり、国家機密であり、そして党指導者層の政策決定に大きな影響を及ぼしている。多くの共産党高官は「内参」を党の意向と見なし、一般の出版物にほとんど目を通さず、情報のほとんどを「内参」から得ているとされる。そのため、「内参」の編集長や編集主任、時には内参の記事を書く記者までは「特別な人物」と見なされている。

しかし、「内参」記事の中で問題解決の提案をすることは許されないこと。毛沢東は「内参」の記者にこのような指示を出していた「中央が記者に与えている仕事はありのままで事実を報告することであり、その後の判断処理は中央の仕事だ」

多数の新華社記者の証言では、中央や省、市の幹部は一日の最初の仕事として新華社の「内参」を閲覧することであり、重要問題について「内参」の空白で直接指示や意見を書き込み、そのページのコピー資料を関係部門に回して処理してもらうという。

公開した公式史料によると、毛沢東は「内参」を知識の獲得と重大政策決定の情報源として毎日欠かさず2冊の参考資料を閲覧していた。鄧小平は最も多い種類の「内参」を閲覧し、指示や意見も最も多く出していた。中央指導者層の手紙やメモが「内参」の形で発表されることもよくあるという。

また文中では、今年2月19日、習近平国家主席が新華社に出向いた時の様子が特筆されている。習主席は同社で「内参」の作成に携わっている編集部に対し「私は地方にいたころから『内参』を重視していた。中央に上ってからはより重視するようになった」と語ったという。

時事評論家周暁輝氏の分析

4月21日、大紀元に専属する時事評論家の周暁輝氏は「内参」について次のように分析した。「政治局委員と省部級の幹部達が目を通している「内参」の記載内容は真実であり、政府メディアが報じている内容とは異なっている。その内容は政治的に非常に敏感な情報も含んでいるうえ、非常に詳細なことから、一般中国人に知られることは共産党政権にとって不都合なことだ。指導者層は国民に対し、一貫して情報統制や愚民化宣伝工作を行っているが、彼ら自身は適時適切な判断を下すために、情報操作されていない本当の国内外の情報を手に入れる必要がある」

周氏はまた、5~6年前に友人からいくつかの「内参」を見せられたことにも触れ、非常に印象深かったのは、これら「内参」に記載されている多くの記事の出所は、中国当局が規制をかけている、大紀元や新唐人テレビを始めとする海外自由メディアの報道だったことだという。その内容は党幹部の腐敗や「九評共産党(共産党に関する9つの評論)」、法輪功問題など、基本的に中国国内で禁止されているテーマだった。

党高官は江派のクーデター計画や臓器狩りの犯罪行為を熟知

上記のことから、周氏はこれら「内参」を閲覧可能な党高官は海外の中国共産党批判の内容を熟知しており、特に法輪功迫害政策の真相が上級幹部の間で公然の秘密となっているのは明らかだとしている。また、ここ3年間で起こった党内の一連の闘争に対する海外メディアの分析や報道内容を、「内参」が見落とすはずがないともしている。

薄熙来周永康徐才厚郭伯雄といった共産党高官の失脚にともなって、北京当局は「政治ルールの破壊」「隠匿された重大な政治リスク」といった文言を使いながら江沢民一派のクーデター計画に関する情報を徐々に公開し始めた。だが、江派の臓器狩りなど人道に反する罪についてはまだ隠匿を続けている。

中国衛生部の元副部長であり、現在は中国共産党中央保健委員会副主任の黄潔夫氏は、15年1月1日から死刑囚からの臓器移植の中止については胡錦濤前国家主席と温家宝前国務院総理、習近平現国家主席と李克強総理の支持も取り付けているはずだと説明し、そうでなければ中止を実現することは困難だったとしている。

またこれより前、ある消息筋によると重慶事件(訳注)後に温家宝元総理は上級幹部会議の際、このように発言したという。「6~7年前、実はもっと早くから、法輪功の弾圧政策は中国に悲惨な結果をもたらすことは分かっていた。我々は調査によって江沢民が巨額な国家財政を使って無防備な民間団体を鎮圧したことを突き止めた。馬鹿げたことに、中央は今に至るまでこの問題に対して見て見ぬふりを決め込み、解決しようともしない」

「麻酔もなしで生きた人間から臓器を摘出して売りさばく。これが人のすることだろうか? こんなことが横行するようになってからすでに何年も過ぎている。我々はもうすぐ引退を迎えようとしているのに、まだ解決できていない…」「王立軍事件(訳注)は世界中に知れ渡っている。薄熙来の件を片付けるついでに法輪功問題を解決してはどうだろう。機は熟したはずだ」

(訳注)重慶事件(王立軍事件を含む):2012年2月、重慶市の副市長だった江沢民派の王立軍が、江沢民派の習政権に対するクーデター計画や法輪功学習者に対する臓器狩りなどに関する大量な機密資料と共に、四川省成都市のアメリカ領事館に駆け込み亡命申請を出した。これを発端に薄熙来を始め周永康など一連の党高官が失脚した。

(翻訳編集・桜井信一/単馨)

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